この話は「フューチャーズ・エンド(Futures end)」というバットマンビヨンド(テリー・マクギネス)が大きな禍いを止めるために未来からやってくるイベントのタイインです。
グレイソンの方ではここまでの現代の話から続く、ありえた未来が描かれています。そしてそこから1ページずつ過去にさかのぼっていって最終的にディックの両親が死ぬ直前までさかのぼります。
さて、この1話には解説でも示されている通り、あるトリックが仕込まれています。
まずはクルーマスターの暗号。それぞれの言葉の最初の文字をつなげるという暗号でした。そしてサメがいる水槽の上でロープで縛られているときにディックがヘレナにその話をします。その直前のヘレナの発言は
「ヘマしたものね」
「この状況じゃ、銃は用なしだわ」
「今すぐナイフを出して」
「助かりたきゃね」
これらの最初の文字をつなげると・・・へ、こ、い、た、「屁こいた」となります。
だからディックは笑い出したんですね。
ここで一番最初のページに戻ります。ヘレナの台詞は
「恐れていたわ」
「苦渋の決断をする、この日を」
「自由に生きたあなたも」
「黄泉へのロープは断ち切れない」
「浮世の始めから」
「まつわるのはいつもロープ」
「でも、これで終わり」
同じように最初の一文字を取っていくと・・・お、く、じ、よ、う、ま、で、「屋上まで」となります。ヘレナが「屋上まで」と言ったときは「何もかもすてて回収地点へ向かい、ヘリに乗れ」という意味でしたね。
しかしディックは絞首刑。ここを抜け出すためのトリックは最後のページです。ヘレナと同じようにロープに触れていますね。ディックの両親を殺すために使われた酸。それが答えです。ディックの両親のブランコのロープを切ってその命を奪った酸がディックの絞首刑のロープを切って彼の命を助けたということです。
以上から、この後ロープは酸によって切れてディックとヘレナは屋上からヘリで脱出するという結末がわかります。
また、コミクソロジーでは最初の数ページはプレビューで読めるのですがこちらでは「The roof」となってます。元の話の完成度も凄いですがこれを日本語に訳してみせた翻訳家さんも素晴らしいですね。