今回はこのドゥームズデイ・クロックについてネタバレありで解説していくので未読の方はどうか読んでから来てください。
それぞれのDCのキャラクターの細かい解説とかは邦訳本の解説とかで各自で調べていただくとして、一番よくわからなかったのは「アース○○」とか「スーパーマンの到着」のあたりだと思います。
その点に関してDCユニバース全体の説明をしていきます。
まず、DCコミックスから出版されているコミックは大抵同じ世界で起こっている出来事です。この大抵の事件が起こっている世界を正史世界と呼びます。
例えばウォッチメン本編のような世界は正史世界ではない並行世界の一つとなります。
ではこの正史世界ですが、スーパーマンの誕生した1938年からずっと同じ世界で続いてるものかと言われれば少し違います。アメコミでは設定改変がよく行われるという話があるのですが、つまりはそれの話です。
DCの正史世界ではいろいろな事件が起きますが、それら全部が同じ世界で起こるというのはやはり物語を作っていくにあたって困ったことが起きることが多いのはわかると思います。例えば1938年から活動してるスーパーマンが2020年にも活躍してるのは無理がありますね。そういう時にタイムトラベルにより歴史を改変するような事件などが発生することでスーパーマンが「現代」においてヒーローに適した2,30代くらいの年齢になるように調節されます。
最初にマンハッタンがやってきたのはスーパーマンの初登場である「Action comics#1」が現実で刊行された1938年にスーパーマンが活躍し始める世界。 この世界がアース2となります。 なぜ最初の世界が2なのかと疑問に思うと思いますが、次の世界が出来た時にそっちを1と名付けてからこっちの世界を2と名付けたと考えてください。
こちらの世界ではジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ(JSA)のチームメンバーと同時期にスーパーマンもヒーロー活動をしているため、設立時(この話が刊行された1940年)にジョニーがスーパーマンも探そうとします。
次の世界であるアース1は稲妻に打たれた科学捜査官こと2代目フラッシュのバリー・アレンの誕生が現実における1956年で、そこからはこの世界が正史となります。
上の「警察の科学捜査官が~」の後に「アース2が生まれた」と書いてあるので混乱しそうになるのですが、これは2代目フラッシュが誕生したことでアース1の歴史が始まったと同時に以前の正史世界であったアース2が正史世界と分離して生まれた。という事だと思います。つまり正史世界ではなくなった元正史世界に名前が付けられていってるんだと思います。
アース1での話をしてるのは以下のコマですね。また、詳しい説明は省きますがこの世界にはJSAは存在していません。
日本語訳版の『ウォッチメン』の覚書で書かれてたアース1やアース2はこの二つのことを言ってます。
そしてそのアース1とアース2、それ以外の様々な並行世界も巻き込んだ最初にして最大の危機(クライシス)である 「クライシス・オン・インフィニット・アース」(これの刊行が1985年から)が起こり、アース1985(ファンの間で長い間使われてる通称はニューアース)が誕生します。
クライシス・オン・インフィニット・アース (DC COMICS)
- 作者:マーブ・ウルフマン(ライター),ジョージ・ペレス(ペンシラー)
- 発売日: 2015/04/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
この世界においてはアース2と同じく1940年にJSAが設立されるのですがスーパーマンはこの世界の1940年には活動していないので「メンバーはそろった」となります。
そこから「フラッシュポイント」の事件があり、NEW52と呼ばれる期間が始まりまたスーパーマンは若返ります。
この作品においては「フラッシュポイント」から「リバース」までをアース52と呼んでいるのですが、「フラッシュポイント」以降の正史世界のファンの間の通称はプライムアースでありリバースの後も今のところプライムアースと呼ばれています。(これとは別にアース・プライムというのもあるので注意)
そしてそのフラッシュポイントにてDr.マンハッタンが介入していたことを示唆するのが「DCユニバース:リバース」と「バットマン/フラッシュ:ザ・ボタン」であり、その答え合わせがドゥームズデイ・クロックとなります。
バットマン/フラッシュ:ザ・ボタン (ShoPro Books DC UNIVERSE REBIRTH)
- 作者:ジョシュア・ウィリアムソン,トム・キング
- 発売日: 2018/09/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
NEW52における正史世界には、過去の象徴であるジャスティス・ソサイエティ・オブ・アメリカ(JSA)が存在しませんでした。 それにより、この世界は歴史の積み重ねが少なく設定もあんまりこんがらがってないので初心者向けと言われてきました。
そしてその原因がこの作品で明かされました。 ちなみにJSAは第二次大戦期にも活躍してたというのが特徴なのでスーパーマンと違って先送りされないようです。
ちなみにこれらを邦訳で知っていこうとするなら、上で名前を出したもの以外だとスーパーマンの初回であるAction comics#1も収録されてる「アクションコミックス#1000」
- 作者:ダン・ジャーゲンス,ピーター・J・トマシ,マーヴ・ウルフマン,ジェフ・ジョーンズ,リチャード・ドナー,スコット・スナイダー,トム・キング,ルイーズ・サイモンソン,ポール・ディニ,ブラッド・メルツァー,ブライアン・マイケル・ベンディス,ジェリー・シーゲル
- 発売日: 2019/02/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
アース2のスーパーマンの誕生譚やアース1とアース2の初邂逅である初代と2代目フラッシュの初共演が収録されてる「DCコミックスアンソロジー」や
まだ新米のNEW52におけるスーパーマンを見られる 「スーパーマン:アクション・コミックス Vol.1 」 などです。
また2020年にメタバースがどうこうっていうのは当時はまだ刊行されていなかった『バットマン・デスメタル』という事件の話です。つまりこれから起きる(刊行される)話もDr.マンハッタンは分かっていたという事ですね。
そして5Gというのは本来『デスメタル』の後にやる予定だったストーリーです。
これまでのアースの名付け方的に
フラッシュポイント後の正史(プライムアース)は再生"リバース"の事件により正史ではなくなりアース52となる。
リバース後の正史はタイム・マスターズの事件により正史ではなくなりアース5Gとなる。
ということでしょう。
この5Gというストーリーはコロナ禍により結局実際に刊行はされませんでした。
『デスメタル』の後に実際に起きたのは『インフィニット・フロンティア』という事件であり、この辺の時期で「スーパーマンは活力を取り戻す」という言葉に当てはまるのは新たなスーパーマン(ジョン・ケント)が誕生したことを指すのかもしれません。
さて、現在のDCの大きな事件は『フラッシュポイント』→『DCユニバース:リバース』→『ドゥームズデイ・クロック』→『バットマン・デスメタル』→『インフィニット・フロンティア』→『ジャスティ・リーグ・インカーネイト(邦訳刊行予定)』→『フラッシュポイント・ビヨンド』→『ダーク・クライシス・オン・インフィニット・アース(邦訳刊行予定)』
という流れのストーリーですが『フラッシュポイント・ビヨンド』にて5Gは回避されたと書かれています。また、この事件においてタイム・マスターズも絡んできていたり、『ドゥームズデイ・クロック』の要素が登場していたりと形は少し変わったけど似たような事件が起きてます。
そして気になるのが『シークレット・クライシス』ですね。5Gみたいに、元はその予定だったけど無くなるのかそれとも本当にやるのか・・・・
シークレットはマーベルのイベントでよく使われるフレーズで(『シークレット・ウォーズ』や『シークレット・エンパイア』など)クライシスはDCのイベントでよく使われるフレーズ(『イニフィニット・クライシス』や『ダーク・クライシス』など)なのでそれの合体ですね。
それより先はドンドン設定が変わりつつスーパーマンは現代に到来し続けるって話ですね。
今のところウォッチメン要素が出てる続編は『バットマン・デスメタル』でほんのちょっと、『フラッシュポイント・ビヨンド』でまあまあ登場。という状況で再び本格的に話に絡んでくるのはいつか良く分かりません。
それでも今作から続く物語に興味を持ってもらえたら是非読んで欲しいです。